> PD061:『ノルマンド・サントス - バランソ・コン・ボッサ 』 (2011.07.13 Release)
ボサノヴァの始まりを知る男の、衝撃の復活作。
ブラジルの港湾都市レシフェ生まれの男性 SSW/ ギタリスト、ノルマンド ・サントス( ノルマンド・マルケス・ドス・サントス ) 。
1950年代の中頃、大学進学の際にリオ・デ・ジャネイロに移り住んだ彼は、そこでホベルト・メネスカル、ルイス・カルロス・ヴィーニャスらとバンドを結成し、キャリアをスタートさせました。その頃には既にナラ・レオン、ジョアン・ジルベルト ( さらには、ルイス・エサ、ビリー・ブランコ、ベベート、トム・ジョビン、カルロス・リラ etc … ) とも親交があり、当然の事ながらボサノヴァ・ムーヴメントの中心に居た人物です。
その後、 1962 年には米国のカーネギー・ホールでの歴史的なボサノヴァ・ライブにも出演し、彼が書いた多くの楽曲はその後、マイーザ、ウィルソン・シモナール、エリアナ・ピットマン、ペリー・リベイロなどのブラジルの一流のシンガー達にカヴァーされています。残念ながら、彼は1964年にフランスはパリへと移住してしまった為、ブラジルにおけるボサノヴァの歴史には ( 運悪く ) 頻繁には登場しませんが、その後もヨーロッパで活動を続け、フランスにおいてもフランソワーズ・アルディに楽曲を提供するなど、優れた才能を発揮し続けました。その時に生まれた奇跡的な名曲が本作でもオープニングを飾る「Balanco com bossa 」です。その初演は 1968 年の 7"シングルで、何とケニー・クラーク、ステファン・グラッペリ、ピエール・ミシェロなど、超一流のジャズメン達と吹き込みました。さらに、 1975年にはよりキャッチーなアレンジで再演しており、こちらもひっそりと 7"シングルでフランスでのみリリースされました。これら2枚の7"シングルは非常に貴重なレア盤としてごく一部のマニア / コレクターの間では知られていますが、残念ながら、いずれも殆ど日の目を見ることはありませんでした … 。
そんなノルマンドが、ボサノヴァ生誕 50周年を迎えた2008年に、ブラジルでひっそりと吹き込んだカンバック・アルバムを、さらに2010年に再MIX、そして今回日本仕様にマスタリングしたのが、今作『バランソ・コン・ボッサ』です。元々、作曲家としての能力、歌い手としての魅力 ( ブラジルのシナトラと呼ばれた事もあるそうです ) 、ギタリストとしての技量は一級品ですが、アルバムとしてのトータルのクオリティの高さにとにかく驚かされます。華麗で巧みで絶妙のキャッチーさが渾然となったイントロのスキャットパートだけでも素晴らしい、オープニングを飾る「Balanco com bossa 」を聴けば、一瞬でその凄まじさを実感していただける事でしょう。その後も紡がれて行く素晴らしい自作のボサノヴァの名曲達は、いずれも素晴らしく、ヴィニシウス・ヂ・モラエスとの共作となる「 Aconteceu 」、「 Lamento do adeus 」、ロナウド・ボスコリとの「 Depois do amor 」、「 Dexia o nosso amor 」、ビリー・ブランコとの「 Castelinho 」など注目点も多いです。
間違いなく彼も “ ボサノヴァの影のオリジネイターの一人 ” であり、シーンにおける重要人物です。なにより、そんな彼が長い歳月を経て吹き込んだ貴重な作品が、素晴らしい内容であると言う事が重要です。とにかく、そのサウンドを、歌声の素晴らしさをお試し下さい。



